永青文庫叢書 細川家文書中世編が刊行されました

5月1日、熊本大学文学部附属永青文庫研究センター編
「永青文庫叢書 細川家文書中世編」が吉川弘文館より刊行されました。

 細川家は室町幕府将軍直臣の出身で近世大名家となった数少ない武家の一つであり、わけても近世大名家初代となった細川幽斎は、「古今伝授」に代表されるように、京都において中世文化を一身に集約して近世へと伝達した人物としても特筆される存在です。

このたび、刊行された、熊本大学文学部附属永青文庫研究センター編『永青文庫叢書 細川家文書 中世編』は、細川家(公益財団法人永青文庫)に伝来した中世文書(西暦1600年までのもの)260通を写真入りで収録。細川幽斎(藤孝)と嫡子忠興が次のような政治史の荒波をどのようにして乗り切り、細川家を存続させることができたのかを示す古文書をすべて収録しています。

  1. 室町幕府15代将軍足利義昭と織田信長との連合政権期から両者の対立、そして義昭の没落による信長の権力確立までの時期
     (幽斎が将軍を捨てて信長を選択するまでの過程)
  2. 織田政権の勢力拡張過程
     (幽斎が信長に仕え、各地を転戦するとともに京都及び丹後において織田政権下での軍事的役割を果たした様相)
  3. 「本能寺の変」における信長殺害、明智光秀の滅亡、織田政権の解体と豊臣政権の確立という日本史上の一大政変期
     (姻戚関係にあって、かつ自分に対する軍事指揮権を保持していた明智光秀に細川父子が与同せず、細川家が豊臣大名として存続し、さらに幽斎が豊臣政権下で文化的な役割を果たした様相)
  4. 「関ヶ原合戦」と古今伝授にまつわる幽斎の丹後田辺城籠城
     (「関ヶ原合戦」における細川父子の動向と近世大名家としての細川家の確立)

 この時期の収録文書のうちで注目されるのは、59通を数える信長発給の文書(うち幽斎宛は49通、忠興宛信長自筆文書も含む。)で、特定の家に伝来した信長文書としては最多です。
 この他にも、細川幽斎がその名跡を継いだとされる室町期和泉上守護細川家や、同家の菩提寺であった建仁寺永源庵に伝来した文書群を100通以上収録。室町期研究の重要史料群となります。

 「永青文庫」は、旧熊本藩主細川家に伝来し、熊本大学に寄託される43,000点を超える文化財コレクションです。「永青文庫叢書」は、細川幽斎没後400年、中・近世の政治・文化を知る貴重な資史料群を、最新の調査結果に基づき、写真入り翻刻により、次のように順次公刊予定です。
 ①絵図・地図編Ⅰ  ②細川家文書 近世初期史料編  ③絵図・地図編Ⅱ  ④有職故実

詳細につきましては、吉川弘文館サイトをご覧ください。

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